2.防火対象物 令和2年版 消防白書 総務省消防庁
私たちの社会において、 火災予防 は、人々の安全と財産を守るための最も基本的な責務の一つです。 特に、不特定多数の人が利用する施設や、災害時に大きな被害が予想される施設においては、より一層厳格な防火管理が求められます。 今回は、その厳格な管理が義務付けられる 「特定防火対象物」 について、そして、その適用を判断するための最初の扉である 「用途判定」 がいかに重要であるかを行政書士の視点から深掘りしていきます。 あなたの施設が火災から安全に守られているか、ぜひこの記事で確認してみてください。 1. まずはここから! 「防火対象物」と「特定防火対象物」の基本.. 特定防火対象物と非特定防火対象物の違いをわかりやすく解説。 飲食店・事務所・民泊・テナントビルなどの具体例を交えながら、消防設備・点検義務・防火管理者・消防法違反リスクまで初心者向けに詳しく説明します。
防火対象物(ぼうかたいしょうぶつ)とは、不特定多数の人に利用される建造物等のことである。
法による定義
消防法(以下「法」という)の第2条第2項では、「防火対象物とは、山林又は舟車、船きょ若しくはふ頭に繋留された船舶、建築物その他の工作物若しくはこれらに属するものをいう」と定義されている。
多数の人(デパートのように不特定多数の場合も、工場のように特定多数の場合もある)が出入りしたり、敷地が広大もしくは構造が巨大なものである建築物では、火災が発生した場合、人的・物的に甚大な被害が生じることが十分考えられる。そこで、通常の建造物よりも厳しい防火管理が求められることから、法的に必要な措置(防火管理者の選任など)を講じるために防火対象物の制度が設けられた。
建築基準法との関連
消防法第8条第1項で防火管理が義務付けられている「学校、病院、工場、事業場、興行場、百貨店(これに準ずるものとして政令で定める大規模な小売店舗を含む。以下同じ)、複合用途防火対象物(防火対象物で政令で定める二以上の用途に供されるものをいう。以下同じ)その他多数の者が出入し、勤務し、又は居住する防火対象物で政令で定めるもの」の大部分は、建築基準法第2条第2号で定義されている「特殊建築物」に該当し、消防法と建築基準法両方の適用を受ける。
種別
防火対象物は大きく分けて、消防法による制約を(ほとんど)受けない「一般住宅(個人の住居、およびそれに付随する倉庫・車庫・農機具庫等)」と消防用設備等の設置が義務付けられる「消防法第17条第1項の政令で定める防火対象物」の2種別がある。
「政令で定める防火対象物」は消防法施行令(以下〝令〟とする)第6条 防火対象物の指定 により令別表第一に規定される建築物(一覧を後記)で、用途・面積・収容人員の差異より必要となる消防設備・各種届出義務・防火管理者の有無などが変わる。
防火管理者の選任が義務づけられる防火対象物のうち、甲種防火管理者の選任が必要なものを「甲種防火対象物」、乙種防火管理者の選任が必要なものを「乙種防火対象物」という。甲種と乙種については「防火管理者」を参照のこと。
一般住宅においては、建物火災による死者(約1500人)のうち住宅火災による死者が約9割(約1300人)にも達することから、消防法改正により平成23年5月末までに住宅用火災警報器の設置が義務づけられるようになった。なお、この期日までに設置されていない住宅は違法となるが、罰則規定は現在のところ一切設けられておらず、また、住宅用火災警報器が設置されていない状態で火災したからといって火災保険が適用除外されるといった制約はない。
特定防火対象物
特定防火対象物(特防、特定防対とも)とは、下記令別表第一におけるもののうち法第17条の2の5に定められている防火対象物で、「多数の者が出入りするものとして政令で定めるもの」と規定されている。ただし、多数の者が出入りすると言っても、たとえば従業員が1000人以上の工場などは含まれず、その防火対象物を利用する個人が定まっていないもの(不特定多数の者が出入りする防火対象物)が該当する。そのほか、火災が発生したときに避難等が困難であり人命に多大な被害を出すおそれが十分にあるものとして、各種福祉施設(老人ホーム・デイサービスセンター等の高齢者福祉施設、保育園・幼稚園等の児童福祉施設、養護学校・援護施設等の障害者福祉施設)や病院等が該当している。具体的な対象物は下記令別表第一を参照。
特防に該当する対象物では、延べ面積によって必要となる消防用設備等の条件が厳しく規定されている、消防用設備等の点検報告を毎年行わなければならない、防火管理者の該当要件が厳しく規定されている(収容人員10人以上など)、一部の防火対象物においては「防火対象物定期点検報告制度」が義務づけられるなど火災予防のための厳しい措置や規制が多く掛けられている。また、特定防火対象物における消防用設備等の条件について法令の変更があった場合、当該変更は既存の特定防火対象物に対しても遡及適用される。
前記の特定防火対象物に該当しない対象物はすべて非特定防火対象物(非特防、非特定とも)とされ、消防用設備等の設置に緩和がある、一部を除き消防用設備等の点検報告が3年に1度でよい、防火管理者の該当要件が緩和されるなど特定防火対象物に比べて規制は緩やかになっている。なお、図書館や美術館等はその特性上(収容物の価値やその保全の必要性等)からほかと比べて管理が行き届いているものとみなされ、不特定の人間が出入りするものの非特防に分類されている。同様にレストランや食堂、売店などが存在しない駅やターミナルやフェリー乗り場なども、利用者の目的が乗降のためであること、施設の目的や利用形態から安全に配慮した設計(広い開口部や施設内空間を持つこと、通路障害となる物が設置されていないなど)になっていること、比較的規模が大きな建物では施設内を熟知した専属職員(駅員や誘導員、案内係など)が配置されており非常時の初期対応が期待できることなどから非特防に分類されている。ただし、売店や食堂などが併設されている駅でもそれらが改札内にある通称「駅ナカ」については「売店・食堂・案内所は駅舎内部に必然的に存在する『機能従属用途』であるため(後述の複合用途防火対象物としては捉えずに)単体の防火対象物として扱う」との総務省消防庁の通達(昭和50年4月15日付け消防予41号および消防安41号)が出されている。これにより、改札外に売店や食堂などが併設されている「駅ビル」については後述の複合用途防火対象物として取り扱われる。
複合用途防火対象物
複合用途防火対象物とは、法第8条および令第1条の2に定められている防火対象物で、「2つ以上の異なる用途が存在する防火対象物で、令別表第一の(1)項から(15)項までのうちのいずれかの用途部分が含まれる防火対象物」と規定されており令別表第一において(16)項に該当する防火対象物である。個人商店や個人医院などで店舗と住宅がひとつになっている建物(店舗併用住宅や店舗兼住居という)なども該当するが、それぞれの用途部分の面積に明らかな差があったり、管理権限者が同一で一方が他方の従属的な用途となっていたりする場合(店舗と店員用住居など)は単体の防火対象物として扱われることもあり、場合によっては一般住宅と判断され消防法の規制から大幅に除外されることもある。これらの判定基準については、昭和50年4月15日付け消防予41号および消防安41号と昭和59年3月29日付け消防予54号で総務省消防庁より通達が出されている。
防炎防火対象物
防炎防火対象物とは、万一火災が発生した場合、延焼や火災拡大の可能性(危険性)がほかの防火対象物より大きく、人命に多大な被害を出すおそれが十分にあることから、法第8条の3により防炎規制(一定の防炎性能を有する物品の使用)が義務づけられている防火対象物のことである。
防炎規制を受ける防火対象物は下記令別表第一におけるもののうち、(1)項から(4)項、(5)項イ、(6)項、(9)項イ、(12)項ロ、(16の3)項の防火対象物が該当するほか、(16)項のうちで前に掲げた用途部分が含まれるものでその用途部分についてが該当する。そのほかとして高さ31mを超える高層建築物、地下街のすべて、工事中の建築物・工作物も対象となる。
これらの防炎防火対象物においては、カーテン(ロールカーテンなども)、布製ブラインド、暗幕、どん帳、じゅうたん、合板(展示用や舞台等の大道具用のもの)を使用する際には消防法施行規則(以下〝則〟とする)第4条の4に定められた防炎性能の基準に合格し、消防庁長官の登録を受けた「防炎物品」を使用しなければならない(防炎物品ではない製品は使用できない)。なお工事中の建築物・工作物においては工事用シートのみが対象となる。
防炎物品とは簡単に言って燃えにくい製品のことで、ある程度の時間直接火炎にさらされても燃え付きにくく、また着火しても燃え広がりにくく、火炎にさらされなくなれば消えやすいという化学処理(薬品処理)を施した、もしくはそれらの性能を持つ材料によって作られた製品である。防炎物品には則別表第一の二の二に規定されている防炎ラベルの貼付が義務づけられており、いくら防炎性能を有していてもこの正規のラベルがなければ防炎物品とは見なされない。なお、類似のものとして「防炎製品」があるが、こちらは布団やパジャマといった寝具類や衣類、布製の日用品等に幅広く用いられているものである。防炎製品にも防炎ラベル(防炎製品ラベル)の貼付表示がされている物があるが、こちらは公益財団法人日本防炎協会が認可しているものであり、防炎物品とは異なるもである。防炎防火対象物に設置が認められているものは防炎物品のみであり、ラベルが貼付されていても防炎製品では設置が認められないので注意が必要である。
令別表第一
注釈
脚注
関連項目
- 特定一階段等防火対象物
- 防火管理者
防火管理者が必要な防火対象物と資格 東京消防庁
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劇場・飲食店・店舗・ホテル・病院など不特定多数の人が出入りする用途(特定用途)がある防火対象物を「特定用途の防火対象物」といい、そのうち、防火対象物全体の収容人員が30人以上のもの(前①を除く。 上記の①~③は、次の用途・規模により、甲種防火管理者又は乙種防火管理者の資格が必要です。 ④~⑨は甲種防火管理者の資格が必要です。 収容人員の算定方法は、消防法令(消防法施行規則第1条の3)で用途ごとに定められています。 用途は、 「主な防火・防災管理関係義務一覧表」 の用途欄を参照してください。 算定方法は、以下に掲載した例のほか、 「収容人員の算定要領」 を参照してください。. 日本では、消防法を中心に火災予防や防火対策が広く整備されており、中でも「防火対象物」の概念は防火対策を計画・実施するうえで欠かせません。 その防火対象物の中でもさらに、「特定防火対象物」と「非特定防火対象物」に区分されることをご存知でしょうか。 両者は火災リスクの違いや利用者の特徴に基づいて分類されており、それぞれの性質に応じた防火管理対策が必要となります。 本記事では、特定防火対象物と非特定防火対象物とは何か、どのような基準で区分され、実務上どのように扱われるのかを詳しく解説します。 消防法や条例に基づくルールだけでなく、実際の事例や運用上のポイントにも触れながら、両者の違いを分かりやすく説明していきます。